<戦争とロケット>

ロケットには闇の部分がある・・・。

そういうのを初めて知ったのは、情報収集偵察衛星という

いわゆる“スパイ衛星”の存在を知ってからでした。

実際、この衛星の打ち上げを見に行った時は普段以上に

警備が厳重で、ものものしさすら感じたものです。

そのときの自分はロケットに夢中でそんな負の部分には

目もくれなかったのですが。


今年(2015年)も2機の情報収集偵察衛星が打ち上げられました。

JAXAのHPでのお知らせは、はやぶさ2やこうのとりの時とは

比べ物にならないほど小規模で、ロケットにそれなりに

関心のある人じゃないと見逃してしまうようなものでした。

それもそのはず。

この衛星は宇宙への夢とかワクワクとかいうものとまるっきり無縁の

国防という目的のために粛々と打ち上げられ続けている、

外国の動きを宇宙から監視するための衛星だったからです。


ロケットは元はといえば軍事用に開発されたものでした。

そして冷戦下のアメリカとロシアが互いに優位な立場になろうと

競争して開発を続けた結果、さらに発展を遂げました。

そもそもロケットに搭載するのが衛星ではなく核弾頭なら

核ミサイルなのです。ロケットにはそういう国家間の争いや競争で

生まれ、成長してきたという歴史があります。


平和利用を目指した日本のロケットはそういう意味で特殊です。

核をもたない、よって核ミサイルのような軍事力も持たない。

純粋に宇宙へ向かうための手段としてロケットを作ってきた。

情報収集偵察衛星というのは、そういう流れからは明らかに

逸脱したもので、闇の部分なんです。


現在、平和をめざすことをうたった憲法9条の解釈や軍事力を行使

する条件を変えようということを日本の政府が目指しています。

ロケットもこの動きと無関係ではありません。

宇宙を探求する目的ではなく、それこそ日本が誇る固体ロケットの

技術を軍事転用するような研究も、国防の名の下に行われるように

なるかもしれない。抑止力、あるいは海外から攻撃される兆候が

みられる基地への攻撃手段として。ミサイルと名前を変えて。

そういうのは正直、気持ちよくないです。

どうせなら、宇宙いきてー!小惑星のかけらをとってきてねー!

と子供のようにはしゃげるようにロケットを見送っていきたい。


日本のロケットが宇宙にあこがれる気持ちをのせて

ずっと飛んでいくように。

そういう思いを忘れないでいたいと思います。


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