車の窓がまっしろになるという危機をのりこえ、登山口まで車で向かいます。

「クラ〜イム エ〜ブリ マウンテーン♪」
「ま〜がる〜ま〜がる〜よ、時代はまがるー♪」

変なテンションの二人を乗せ、夜の車道をぐねぐねと曲がっていくレンタカー。
その途中、車の前を鳥がばたばたと通っていったり、小鹿がライトに照らされて逃げてったり。

この夜、一大イベントが待っていました。皆既月食です。
しかし登山口についた自分達を待っていたのは、厚い雲。
雲の流れが速いので、たまに隙間から月が顔をのぞかせます。
見えるたびにどんどん細くなっていく月にわくわくしながら、皆既を待ちかまえ、
「変な色の月!」


皆既月食1 皆既月食2


見えたのは一瞬で、すぐまた雨が降ってきました。
早々に車の中に引き上げ、次の日に備え、睡眠をとります。
そして、起きたのは午前2時半。
頭にヘッドライトをつけ、まっくらな未知なる道を歩き始めます。


前を歩く弟の足 足元のトロッコ道


見えるのは先を行く弟の足と、変化もなく延々と伸びるトロッコ道。
景色を楽しむどころか、あたりは何も見えません。
横幅のせまい橋は下が見えず、ざーざーという川の音だけ。
それがかえって、危なげに思えてきます。

1時間、2時間・・。
いっこうに先の見えないトロッコ道の行軍に疲労感が増してきた頃、
ようやく、中間地点のトイレの建物にたどり着きます。
でもタイムリミットがあるため、あまりゆっくり休んでもいられません。
ロケットを見るには、おそらく今日中の船に乗らなければなりませんから。

ここからは、本格的な山道。甘すぎる携帯食料と辛い柿の種で、無理矢理体に活を入れ、
階段を上り始めます。もやの中、次第に明るくなって、今、自分がどんな所にいるのか、ようやく分かってきました。


山道 巨大な株


株の上に生える木 倒れた木を横切る


折れた木、その上に生える新しい木。びっしり生えた苔。
ここまでくるのにいったいどれだけかかったのか、
見当もつかないほど大きな木が空に枝をのばしていたり、折れて地面に横たわっていたりします。
人の一生の時間をはるかに凌駕する時を重ねて変化しつづけた森。その中を今歩いている。
出発から4時間以上経過し、足が棒になってきていましたが、このまま縄文杉まで絶対行ってやる、という思いは強くなってきていました。

そして、翁杉、ウィルソン株を抜けて、いよいよ目的の場所へ。


「縄文杉から種子島へ」

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