2011年10月。
初めての種子島ロケット見学から、約9ヶ月たった頃。

一度ガスの抜けた風船に、また空気が入ってくるように、思いは膨らんできていました。
でもそれは、まだまだ小さな風船。
手を離したらちょっと飛んで、ぽとりと地面に落ちてしまいそうな、そんな大きさ。
「またロケット見学に行きたい。」という自分の願いは、そんなささやかなものでした。

でも、それは少しずつ膨らみ続けました。
小惑星探査機はやぶさの映画、新しく打ち上げられる衛星(後のしずく)の名称の公募、
つくば宇宙センターの公開、その中で開かれたロケット座談会。
今考えれば、自分の体は自然と宇宙に関係する物に向かっていたんだな、と思います。

12月に次のロケットが打ちあがることが公表され、本当に種子島まで行くのか、
確かめてみたくなりました。そして始まったのが、約1ヶ月に及ぶ、謎の「ロケットダイエット」。
自分が3kgダイエットできるかどうかで、種子島に本当にいくのかを決める、奇妙な挑戦でした。
ドーナツの安売りを我慢し、食事を控え、ランニングを繰り返し、なんとか達成。

その途中で、一眼レフと望遠レンズを父から譲り受けることになります。
前回、写真では本体を確認することの出来なかったロケットを、今回はばっちり写してやろうという野望が生まれたんです。
カメラに関わりはじめたことで、父が昔から交流があった方たちとも知り合うことになり、いろいろ手助けもしていただきました。

そうして準備に準備を重ね、2011年12月10日早朝、弟と一緒に東京を出発。


羽田空港


羽田空港でひとしきりカメラで遊んだ後、(弟は自分の釣り場の写真ばかり。)飛行機に乗り、これからのことを相談。
実は、今回のロケットは打ち上げが延期になることが事前に分かっていました。ロケットを見る予定だった日をどう過ごすか。

お気楽な二人が決めたのは「屋久島へ縄文杉を見に行こう!」
いえ、前々から行きたかったんです。世界遺産になるほどの森がいったいどんな場所なのか。
種子島からは船ですぐですし、ロケット見学が次の日になっても時間はあるんじゃないかと。

しかし、この決定が実に軽々しかったことを後々になって思い知らされることになります。


屋久島に渡る前の桜島


初めて訪れた屋久島は雨でした。天気の良かった鹿児島の都会とはうって変わった空気。
種子島が海の島なら、屋久島は森と山の島。その高さに感心しつつ、車を走らせます。

すぐにフロントガラスが曇ってきました。「ヒーターつけて。(→曇りをとるために)」
運転する弟に言われ、それらしきボタンを押します。まだまだ曇るガラス。
ヒーターの音は聞こえるので風の向きが悪いのかと、あてずっぽでボタンを押しまくる自分。どんどん見えなくなる視界。

“全滅の危機”

前はほとんど真っ白。止められる場所も見えないため、ストップすることもできません。
白いフロントグラスで、走り続ける車。運転するのに必死な弟に、全然ボタンがわからず状況を変えられない自分。
ひどすぎる事態に2人とも笑ってしまいますが、ほんと笑ってる場合じゃないです!
これかこれかとボタンを変え、ようやく正解を見つけるまで、究極の時間帯でした。

文字通り死にそうになった後、雨もあがり、ほっと一息。


屋久島で見た虹


これはまだ旅の序章。

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